私がカビと向き合うようになった理由
「最近、子どもの咳がなかなか治らない。」
「病院では大きな異常はないと言われたけれど、何となく気になる。」
そんな経験はありませんか。
もちろん、咳の原因は風邪や花粉、感染症などさまざまで、一つに特定できるものではありません。
症状が続く場合は、まず医療機関を受診し、原因を調べてもらうことが大切です。
それでも私は、この仕事をしている中で「住まいの環境」が体調に影響しているのではないかと感じる場面を何度も見てきました。
それには理由があります。
実は私自身が、住まいのカビに苦しんだ経験があるからです。
部屋はきれいに見えました
今から20年以上前。
私は鉄筋コンクリート造の古いアパートの1階に住んでいました。
部屋を内見した時、最初に気になったのは少しカビ臭いことでした。
でも壁はきれい。
室内も特に汚れているようには見えません。
「古い建物だからこんなものかな。」
そう思って入居しました。
しかし実際には違いました。
コンクリートの壁は全面が木の板で覆われ、その裏側一面に黒カビが広がっていたのです。
押し入れもカビの臭いが強く、とても荷物を入れられる状態ではありませんでした。
部屋全体が湿気を含み、目には見えないカビが漂っているような環境でした。
咳が止まらなくなりました
その頃から、私の体にも変化が現れました。
香水や玄関用の芳香剤など、少し強い香りを吸っただけでも激しく咳き込み、息苦しくなることが増えていきました。
夜中に咳が止まらず眠れないこともありました。
呼吸器科を受診すると、アレルギー性気管支炎と診断されました。
薬による治療を受けるとともに引っ越しをしました。
症状はすぐには改善しませんでしたが、何年もかけて少しずつ落ち着いていきました。
もちろん、この症状が住環境だけで起きたと断定することはできません。
しかし私はこの経験を通して、
「住まいの環境は健康にも大きく関わることがある」
と実感しました。
カビは健康に影響することがあります
千葉大学真菌医学研究センターの矢口貴志准教授によると、カビは鼻水や皮膚炎だけでなく、咳などの呼吸器症状に関係することがあります。
特にアレルギー性の要因が疑われる場合には、家庭内のカビを減らすことが症状の改善につながる可能性があるとされています。
もちろん、咳が続く場合は自己判断せず、まず医療機関で原因を調べてもらうことが大切です。
その上で、住まいの環境を見直すことも大切な選択肢の一つになるかもしれません。
現場で見えてきた共通点
私は年間を通して多くのエアコンや洗濯機を分解しています。
その中で気付いたことがあります。
カビが多いお宅には共通点があります。
それは、
・湿気が多い
・ホコリがたまりやすい
・空気が動きにくい
という環境です。
反対に、同じ年数使っていても驚くほどきれいなお宅もあります。
違いは掃除の回数ではありません。
住まいの環境そのものなのです。
家の中のカビはゼロにできません
カビは自然界に存在する微生物です。
味噌や醤油、日本酒など、日本の食文化にも欠かせません。
だからカビをゼロにすることはできません。
でも、
湿度を下げる。
風を通す。
ホコリをためない。
見えない場所も定期的に手入れする。
こうした積み重ねで、
「カビが生えにくい住まい」
を作ることはできます。
私がこの仕事を続ける理由
私は掃除が好きだから、この仕事をしているわけではありません。
昔の私のように、
原因が分からない不調や、
住まいへの不安を抱える方に、
少しでも安心して暮らしていただきたい。
その思いで、一台一台のエアコンや洗濯機と向き合っています。
エアコンクリーニングは、汚れを落とすことが目的ではありません。
洗濯機を分解することが目的でもありません。
その先にある、
「家族が安心して深呼吸できる毎日」
を守ること。
それが、クリーンハンターとして私が一番大切にしている想いです。






